動脈硬化を進める「悪玉脂質」


一日に必要なコレステロールは1~2グラム。このうち約3分の1は食事から、3分の2は肝臓を中心とした組織で作られます。コレステロールはリポたんぱくとして肝臓から血液に分泌され、悪玉コレステロールと呼ばれているLDL(悪玉コレステロール)として末梢の組織に運搬されます。

 

逆に、末梢の組織で過剰なコレステロールは善玉コレステロールのHDL(善玉コレステロール)に運搬され、肝臓に運ばれ処理されます。このためLDLが増えすぎたり、HDLが減少したりすると末梢組織にコレステロールが溜まり、動脈硬化が進行して、その結果、虚血性心疾患、脳血管疾患を引き起こすもととなります。

 

それでは、説明していきますね。

 

日ごろ、私たちが食事からとっている糖質・たんぱく質は、ともに、肝臓で中性脂肪やコレステロールに変換されます。脂質には、これら「コレステロール」、「中性脂肪」に加え、中性脂肪の構成成分となる「りん脂質」、「脂肪酸」の4種類があります。

 

中性脂肪やコレステロールは、いずれも水に溶けにくい「あぶら」で、水分が大半を占める血液中に溶け込むのは難しい性質があるので周囲を血液になじみやすいたんぱく質である「アポ蛋白」やりん脂質で覆った「リポたんぱく」という粒子に形を変えて、血液中に溶け込むことができるようにします。ようは「あぶら」を運ぶ車が「リポたんぱく」だとイメージしてください。

 

この「リポたんぱく」は組成によって、低比重から高比重まで差があり、粒子のサイズも異なります。具体的には「カイロミクロン」、「VLDL」(超低比重リポたんぱく=Ⅳ型)、「IDL」(中間比重リポたんぱく=Ⅲ型)、「LDL」(低比重リポたんぱく=Ⅱ型)に分けられます。

 

カイロミクロンについては、最近は問題となる症例数も減っているので、ここでは省きます。

 

前述したように、コレステロールには、悪玉(LDL)と善玉(HDL)があります。

VLDL・IDL・LDLの3種類が、余分にある場合は、内臓脂肪や血管壁にどんどん蓄積されつづけます。この状態が続くと細胞に悪影響を与える悪玉によって動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、腎障害、悪性腫瘍、自己免疫疾患などの病気が引き起こされるわけです(図)。

なかには、余分な悪玉コレステロールが雪だるまのようにどんどん蓄積されてしまう家系もあって、ご自分の脂質代謝の型はどれに当てはまるのか、言い換えると、いずれの型のコレステロール脂質代謝が悪いのかを、この「タイピング」、つまりタイプ分けによって知ることができれば、自分のかかりやすい病気となりやすさを把握もできます。

 

そうして自分の体質を深く理解して、なりやすい疾患の傾向を早めに察知することで、病気の早期発見や治療、予防に役立てていけるわけです。


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