「医食同源」という思想がありますね。 この言葉のとおり、いわゆる解毒作用をもつ食材が、世界にはたくさんあります。 いずれも特殊なものではなく、日本であれば、旬の食材の多くがそれに当てはまります。
野菜をたくさん食べると健康にいいといわれるのは、野菜がビタミン、ミネラルの重要な補給源であるほか、人体が消化、吸収できない食物繊維が大腸をきれいに掃除、デトックスしてくれるからです。
一方、本家本元の日本では、高カロリー、高脂肪、高塩分、高糖質の食生活がもとで健康を害す人が増加しており、今や3人に2人は癌になるのではといわれています。なんとも皮肉な話ですね。
また、野菜には肉や魚にない植物固有の栄養素も含まれています。
必須栄養素だけであれば肉や魚の方がはるかに多いので、栄養素の摂取には質の良い動物性たんぱくを、解毒成分や固有栄養素、食物繊維や微生物の摂取には植物性の食品を、それぞれ選ぶように心がけたいものです。
ただし、農薬が使われている野菜は、みずからの解毒のために、収穫時までに解毒に有効な物質を使い果たしてしまうのが難点。どうせ同じ野菜を摂るなら、無農薬や自然農の野菜を選びたいところです。
また、日本の伝統的な発酵食品には、おおいに解毒作用が期待できるものがたくさんあります。できれば昔ながらの作り方で、本物の材料を使ったものが理想的です。
私は「高品質の野菜」を専門に扱っている宅配野菜を利用しています。そこでは、旬の野菜がもつ成分・特性から、高品質の野菜を選び、さまざまな病気の進行を抑える食事療法として、活用できるようになっています。
質の高い食事ということを考えたときに欠かせないのが、この「高品質の野菜」なのです。
日頃、家庭の食卓を預かる人のなかには、無条件で「有機・無農薬野菜」が体にいいと思っている人も多いでしょう。ところが、有機・無農薬野菜であれば何でもいいかというと、じつはそうとも言い切れないのです。
大事なのは、その野菜がどんな土壌で育ってきたか、という点です。
土壌は「完熟たい肥」で肥沃化されていることがポイントで、「不完熟たい肥」の場合は、アンモニアが発生します。この匂いは虫や悪玉菌が好みます。 虫は消費者に嫌われますから、それを抑えるために抗生物質を使うことになります。
その結果、野菜はストレスから硝酸塩を作り出してしまうのですが、虫が近寄らなくなるのはこのためでもあります。
虫喰いがなく、一見きれいな野菜には、そうした生命力が著しく落ちて、中身がボロボロで虫も寄りつかなくなっているようなものもあるのです。残念ながらそうなると、野菜本来の解毒系の成分は、ほとんどなくなってしまうのです。
逆に、「虫喰いキャベツのほうが、ナチュラルでいいだろう」と勘違いしている消費者も実際には多いわけですが、なぜ虫がその葉っぱを食べるのかというと、じつはアンモニア臭に寄ってきているのです。
抗生剤や殺虫剤を使わず、しかも虫が寄りつかないようにするためには、アンモニアが発生しない、究極のよいたい肥堆肥を作って、土壌を改良するしかないわけですね。