健康でいるために重要なのはEPA/AA比


前回健康に大きく作用する脂肪酸についてお話しましたね。その脂肪酸のうち体内で作られないため、食事から摂る必要があるものを必須脂肪酸と呼びますが、この中でも特に重要な不飽和脂肪酸がn-3系EPA(エイコサペンタ塩酸)とn-6系AA(アラキドン酸)でした。じつはEPA/AAの比が、健康を考えるうえで非常に重要なポイントであることが明らかになっています。

魚などに多く含まれる脂肪酸であるEPAには、抗動脈硬化作用が認められていて、このAAに対してEPAの比率(EPA/AA比)が高いほど、さまざまな病気の発症と深く関係している動脈硬化の進み方が遅いといわれています。

 

2011年、国が実施した3万人の大規模調査からも、EPA/AA比は0.75以上が望ましいという結果が出ていますが、当クリニックでも、このEPA/AA比の測定をおこなって、年代別に平均値を出してみたところ、次のような結果が出ました(図1)。

これによると60歳以上の高齢者では、目標値の「1」に近い数字でしたが、年代が若くなるほど、目標値よりも低くなり、とくに10代では、60代の10分の1程度の、極めて低い値となっています。

10、20代で、若くても心臓発作で亡くなるケースが稀にみられますが、そのような冠動脈系の心臓発作では、このEPA/AA比の数値が低いことが想像されます。

 

年齢が若くなるほど、EPA/AA比の数値が低くなっているのに加えて、国民全体のEPAの推定消費量も減っています。

平成10年代のEPAの推定消費量は、昭和20年代のおよそ10分の1まで減少しています。

 

皆さんのご家庭の食卓はいかがですか?

 

体内に蓄積される傾向があるAAは、熱、酸化に強いのですが、アレルギー・炎症反応の悪化、発がん促進作用、血栓性疾患発症などの性質があります。

一方、体内に留まりにくいEPAのほうは、AAと違い、熱・酸化に弱いですが、アレルギー・炎症反応を鎮静し、発がん抑制作用の性質があるとされています。(図2)

また、脂肪代謝改善、抗炎症作用、抗凝固作用は、血管内皮機能を改善、弾力性を保持し、血栓性疾患の発症を抑制し内臓脂肪の蓄積を減少させます。さらに抗不整脈作用や脂肪代謝改善作用もあります。

最近はうつ病、統合失調症、アルツハイマーの発症抑制作用がとくに注目されています。

 

肉類にはn-6系のAA(アラキドン酸)が多く含まれているわけですが、外食やコンビニ食が増えると、どうしてもAA系の油を多く摂る傾向になります。

 

研究者仲間に、こうした現代の食生活に警告を発している学者がいますが、彼女に私がいつも摂っているイワシの脂由来のサプリメントをとるようにすすめたところ、頭のキレが非常によくなったのを自覚できるほどだ、といって感謝されました。

 

EPAの摂取量が増えると、免疫力もアップすることがわかっています。当クリニックのリサーチでも同様の結果となりました。これについては、今後も引きつづきフォローアップしていくつもりです。

 

何といってもEPAを含む食材(青魚)と野菜たっぷりの食事が理想的なのです。 以下にEPAを多く含む食品をグラフにしましたので、参考にしてみてください。(図3)

以上のようなことから、とくに最近、このEPAの有効作用が注目されています。体内に留まりにくいものだけに、日頃の食事から、できるだけ意識的にEPAを豊富に含んだ魚などを多くとるように心がけましょう。


私たちは、希少なキノコ「ハナビラタケ」から

サイレントエストロゲン」という新しいカテゴリーの

細胞活性を発見しました