ヒトは120歳まで生きられる


先ごろ、『ギネスブック』で世界最高齢の記録保持者だった日本人女性が117歳で亡くなりました。一方、イギリスの著名な神経生物学者で、英国医学研究協議会の主席執行官を務めていたコリン・ブラックモア氏による「人間の寿命の上限は120歳」とする“人間寿命120歳説”というのがあります。

これは、元来、人間は感染症などの病気や事故に遭うことなく、不摂生をしないで健康な状態を維持できれば、120歳まで生きられるだけのものが備わっている。もともと人間は、それだけの資質をもっているのだと解釈することもできるでしょう。

いいかえますと、人間本来の生理に合った、自然に沿った素直な生き方をしていけば、120歳まで生きることも、けっして夢ではないと考えられるわけです。


では、どのようにしたら最後まで元気で働き続ける“ヘルシーエイジング”が達成できるのか。その具体的な方法を示していくのが、このコラムのテーマでもあります。


これからお話しする食事療法をはじめとした様々なことを毎日の生活に取り入れていくのは、ある意味、自分の体を使って、これから科学の実証実験を始めていくことにも似ています。それはさながら、自分自身を発見する旅のようなものでもあるでしょう。 人間は一人ひとり異なり、ふたりとして同じ人はいません。全員が違います。それが人間というものですから、健康へ至る道も、それぞれです。各人が自分に合った衣食住のスタイルを各自各様で見つけ出していく――。

それが、すなわち個別の“発見の旅”になるのだと、私は考えています。


とはいえ、めざすべきゴールのイメージは一緒で、先に述べた「元気で働くヘルシーエイジング」がまさにそれ。生きがいをもって、最後まで「元気で働く」のが理想ですね。


実際のところ、この10年あまりの間、世界の100歳以上の高齢者数は71パーセントも増加、日本でも100歳以上のご長寿の方は増えていて、じつに6万人を数えるに至っています。

いまのままのペースで、この先、日本社会の高齢化が進んでいけば、現在4人にひとりの割合の65歳以上の高齢者数は、2050年には、3人に1人になると予測されています。高齢化問題が、よりいっそう深刻な社会問題となっていくのは、なにもここであらためて述べるまでもなく明らかでしょう。

齢を重ねると体力的には確実に衰えますが自分の「グッド・ポイント」のうち、伸ばせるところは、まだまだ伸ばすことができます。


いま、中高年の間では、「終活」がブームになっていると聞きます。身辺整理をしたり、お墓を用意したりするのは、各自の考えによって、ご自由にされたらよろしいでしょう。

ここで私が、それ以上にだいじにしていきたいのは、最後の最後まで、どれだけ自分自身に誇りをもちつづけて、周囲の人たちともじょうずにお付き合いしながら、元気でやっていく――ということに尽きます。


若い人たちのお荷物になることもなく、といって上から目線でもなく、自然体でやっていくには、やはり心身の健康をどれだけ保っていくことができるか、ということに行き着くのではないでしょうか。そのためにも、病気の予防と早期治療は必須のことがらです。


最終的には、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の向上と健康な人生をできるだけ延ばしていくことをお手伝いすることが、医師としての私の使命だと考えています。


私たちは、希少なキノコ「ハナビラタケ」から

「サイレントエストロゲン」という新しいカテゴリーの

細胞活性を発見しました